福知山線脱線事故について #4
 発生から一ヶ月経ってしまいました。
 
 事故報道の中でよく「尼崎での短時間の乗り換え」や「スピードアップ」が問題視されていたが、それら自体は決して批判されるべきものではなく、利便性向上という点でむしろ賞賛されていいと思う。本当に問題なのは、「それをどうやって実現していたか」ではないのか。

●時間通り走るのがいいに決まっている
 鉄道にとって「定時性」は他の交通機関に対する大きなアドバンテージなわけで、それを「多少遅れてもかまわないだろう」などというのははっきり言って間違っていると思う。重要なのは「遅れても我慢しよう」ではなく、極力遅れを出さない、つまり遅れが出ても回復する余裕のあるダイヤを組むとか、信号システムの改良などで、人間だけに頼らずに定時性を支えるシステムを構築することだろう。
 ついでに言えば、「わずか1分半の遅れのためにスピードオーバーなど常識では云々・・・」などと言っているメディアが一方では「○○線の電車が10メートルオーバーランしました」などと報じているのも明らかに矛盾している。駅でのオーバーランは信号機を踏んでいなければ事故でもなんでもない。今回の事故発生直前の運転士と車掌の対応を見ても分かるとおり「事後報告」で済む類のものだ。そういった些細なことについて「けが人はありませんでした」などと、さも「事故」のように報道しているメディアが「わずかな遅れのために・・・」などと言えるんだろうか。

●早く目的地に着くほうがいいに決まっている
 「危ないからスピードを落とせ」というのもおかしい。福知山線が近年のダイヤ改正で、直線区間での速度制限を120km/hに引き上げたのを問題とする意見があったが、交通機関はどんな乗り物でも「早く目的地に着く」ことが一番の命題だ。それに、同じスケジュールならばスピードが早いほうが余裕が生まれる。
 今回の事故では「制限速度一杯で走っても遅れを取り戻せないダイヤ」だったからスピードオーバーして遅れを取り返そうとしたわけで、制限速度以内で走っていれば何の問題もなかった。つまり、スピードアップで生まれた余裕をさらなる時間短縮に向けてしまったのが悲劇を生んだわけだ。要は「ダイヤの組み方が悪かった」のが問題なのであって、制限速度の引き上げが直接事故につながったわけではない。

●「新型ATS」があればいいってわけじゃない
 福知山線に設置されているATS-Swは速度照査機能がある。一般に「新型ATS」といわれているATS-Pを導入しなくても、速度制限のあるカーブに入る前に地上子を設置してあればスピードオーバーを検知してブレーキをかけられる。
 ATS-Pは確かにSwより優れた機能を持っているかもしれないが、地上子を設置していなければカーブでのスピードオーバーは検知できない。ということは、逆にいえば今のATS-Swを単純にATS-Pに置き換えただけでは意味が無い。JR西日本の安全担当部長も「ATS-Swの地上子が現場手前に設置してあれば起きずに済んだ」と会見で発言している。
 「新型ATS」があれば何でも事故は防げるかのような意見はおかしい。


 要するに、「短時間での接続」や「スピードアップ」そのものが悪いのではなく、「余裕の無いダイヤを組み、保安システムの支えもない中で、運転士にプレッシャーをかけること」によってこれらを実現していた、ということが一番の問題だと俺は思います。

*追記
 要は単純にスピードを落としたり本数を減らしたりすること(=利便性の低下)をもって「対策」なのか?ということ。さすがに余裕時分0秒のダイヤは問題だけど、他は車両運用の方法や線路改良、適切な保安システムの導入で改善できるんじゃないだろうか。速度を落とせばマスコミは満足するだろうが、JR西日本は鉄道事業者としてのプライドがあるんだったら利便性を低下させずに安全性を高める方法を考えて欲しい。
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by amai_mikan | 2005-05-26 02:24 | 雑記
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