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何が正常で、何が正常でないのか
 正直言ってこれにニュース価値があるのかよくわからない。ATS非常停止35件も JR貨物

 JR貨物の列車で、2004年4月から1年半の間にATS作動が35件「も」あったということだが、それはそんなに問題なんだろうか?JR西日本のようにATSが設定ミスで作動しなかったというなら大きな問題として取り上げられるべきだが、ATS(Automatic Train Stop)とはご存知のように運転士が信号を無視した場合に列車を停止させる=信号冒進による事故を未然に防ぐためのシステムで、これが作動したということは「事故にはならなかった」、つまり機能は正常に働いていたということだ。運転士にとってはミスになるだろうし社内では処分もあるかもしれないが、少なくとも一般的にいう「事故」ではない。記事中には
同社はいずれも運転士の過失ではなく、ATSの接触不良など、車両や電気系統の不具合とし「非常停止によるトラブルはなく、けが人もなかった」としている。
 とあるが、安全装置にトラブルがあったのだから、むしろこっちのほうが問題だろう。

 同じ内容の東京新聞の記事ははっきりいって酷い。最初の2段落を引用してみると、
 死者百七人を出した尼崎JR脱線事故の背景の一つとされる列車自動停止装置(ATS)による非常停止ミスが昨年度以降、JR貨物で三十五件起きていたことが分かった。同種のミスはJR西日本管内しか表面化していなかったが、旅客列車などでも全国で起きている可能性が浮上。居眠りなどが原因とみられ、国土交通省は、睡眠時無呼吸症候群の検査や、一定時間運転操作しないと自動的に非常ブレーキがかかる緊急制動装置(EB)の旅客列車への義務化などを検討している。
 脱線した快速電車は事故の二十数分前、始発の宝塚駅に入る際、二十キロ以上速度超過し、運転席で警告のベルが鳴った。通常、ATSを解除する確認ボタンを押して常用ブレーキで減速するが、死亡した運転士は五秒以内にボタンを押さなかったためATSが作動、非常停止。この運転操作が異常運転と指摘された。ミスによる運転士の動揺などは、大事故の背景として指摘されている。
 「尼崎脱線事故の背景として指摘されている、ATS作動による非常停止という『運転ミス』が全国で起きているようだ。これはつまりあのような大事故が全国で起きる可能性があるということだ」とでも言いたいのか、それとも居眠り運転が多発しているといいたいのか。後者ならそれは重要な指摘なのに、とにかく単に尼崎事故に結びつけようという姿勢が伺える。はっきりいって、そういう報道姿勢は被害者に対しても失礼だと俺は思う。

 ついでにいうとこの記事は第2段落がいきなり「脱線した快速電車は~」で始まっていて何のニュースなのか不明瞭。というよりこの段落は最後のほうに置くような内容じゃないか?はっきり言って下手くそな原稿だと思う。

 内容を整理するなら、
 「JR貨物の列車で、列車自動停止装置(ATS)による非常停止が昨年度から35件起きていたことがわかった。同種のケースはJR西日本で表面化していたが、全国的に起きている可能性も浮上。原因の多くは運転士の居眠りとみられ、国交省は睡眠時無呼吸症候群の検査やEBの設置義務化などを検討している。」
 というのをアタマに持ってきて、原稿の最後に「昨年4月に起きたJR福知山線脱線事故の快速電車でも、事故直前にATSの作動による非常停止が発生。ミスによる運転士の動揺が事故につながったと指摘する声もある。」
 とかなんとか付け加えればちょっとは良かったんじゃないかなあとか思いました。
by amai_mikan | 2006-01-14 01:59 | 雑記
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