one year after
 とても21世紀の日本で起こるとは思えなかったJR福知山線の事故から1年が経ちました。

 世界でもトップレベルの安全性を誇る鉄道大国のはずの日本で、「速度超過」という極めて単純な理由による大惨事を防げなかった、起こしてしまったというのははっきりいって恥です。これは未知の現象ではなく、既存の技術で問題なく防げたはずの事故です。JR西日本はそこをよく解って欲しい。

 福知山線事故の原因として「JR西日本の利益至上主義」がよくやり玉にあげられていますが、もともと利益を追求するために作られた私企業であるはずの全国の大手私鉄各社は、少なくともここ30年以上「大事故」といわれるような列車事故は起こしていない(*1)。その間に国鉄や、それを引き継いだJRでは数多くの事故が起きています。
 鉄道側の責任で起こる事故の大部分は衝突/追突だから、その点では大手私鉄のATSの方が国鉄より機能的に優れていた、というのも大きな要因だろうが、別の要因として私鉄各社のほうが「鉄道という商売における信頼性」の持つ意味を重要視しているから、というのもあるんじゃないだろうか?

 鉄道業以外にもいろんな事業を展開する私鉄各社は、自社グループのブランドが鉄道の信頼性の上に築かれていることを自覚していると思う。2000年春に起きた営団日比谷線中目黒駅の脱線事故の時、東急が以前から輪重比管理を徹底したり、カーブ区間の脱線防止ガードをすばやく整備していたことが取り上げられていたが、これも事故で「信頼が崩れる」=東急ブランドの崩壊を最も恐れているからだろう(1986年に東横線横浜で起きた脱線を教訓に整備)。以前某私鉄がラッシュ時対策として「座席が収納できる電車」を開発したものの、乗客からの批判や、それが広がってグループ各社への不買につながったらどうしよう、ということで結局その機能を使うのをやめた、ということがあった(ずいぶん前に朝日新聞の社会面に出ていた)。まあだったら最初っからそんなの作るなよ、という気はしますが、これは大手私鉄が「電車のイメージが落ちたらウチは終わり」と考えていることを示す一例だと思う。

 正直言ってJR西日本をはじめ、JR各社はそこらへんに対する配慮がなさすぎる気がする。JR東日本の例ですが、先日高田馬場付近の工事が原因で起きた山手線ストップの例を見ても、以前に同じ工法で失敗しているのにまた同じことをくり返している。

 商売の基本は信頼で、築くのは大変でも崩れるのは一瞬、とはよく言われることですが、鉄道の場合は事故があれば信頼はあっという間に崩れてしまう。本当の商売人なら客の信頼を失うようなことには人一倍気を配るべきで、その意味では福知山線の事故後もトラブルをくり返すJR西日本は「利益を追求する」姿勢としても大きく間違っている。

 商都大阪に本拠を置くJR西日本なんだから、小手先の小金稼ぎではなくこういう時こそ本物の関西商人魂を発揮して、信用できる鉄道を築いて欲しい。


(*1):中小私鉄になると一気に事故が増えるが、これは「お金がない」のがほとんどの原因だと思う
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by amai_mikan | 2006-04-28 03:37 | 雑記
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