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羽越線事故について #2
 少しずつ状況がわかってきているようです。列車は一度大きく傾き、復帰した直後に脱線転覆

 原因は突風ということで固まってきているようだが、どういう方向からの風を受けたのかが原因の解明には重要な点になるでしょう。下でも書いたが、例え高速走行中とはいえ、平均40tある物体を単純に横風だけで浮き上がらせるのは20m/sの風では難しいだろう。例えば、最初から飛ばそうと思って造られている飛行機だって、約50tのB737型機でも離陸するのに200km/h以上の速度が必要なわけだ(だったと思う)。過去の強風による脱線事故もだいたいはある程度高さがある軌道上(=下からの吹き上げが起こりうる)場所で起こっている。レールに載った列車を倒すのにはある程度強い横圧が必要でも、レール面から10cmも浮いてしまえば必要な力はかなり小さくなるだろう。

 今回の事故は列車の走行中に起きているわけだし、自然災害的な面が大きいとしても(予測不可能な突風であったとしても)結果的にはJRが責任を免れることはないと思うが、今の段階からすでに「人災」にしたい人たちがいるようだ。12/27付毎日新聞社説:特急転覆 安全管理で浮ついてないか
風速25メートルで速度規制、30メートルで運転中止--というマニュアルに違反していない、との説明にも納得しがたいものがある。設置場所が限られた風速計に頼っているだけでは、危険を察知できはしない。五感を鋭敏にして安全を確認するのが、プロの鉄道マンらの仕事というものだ。しかも86年の山陰線余部鉄橋事故などを引き合いにするまでもなく、強風時の橋梁が危ないことは鉄道関係者の常識だ。ましてや「いなほ」は秋田県の雄物川では風速25メートル以上だからと徐行したという。現場では計測値が5メートル低いと安心していたのなら、しゃくし定規な話ではないか。

 はっきりいって、こういうことを言っているから事故はなくならない。システムで防げるものをシステムで防いでいないから事故は起こり続ける。本来、ここで述べられるべきは「規制の基準がこの現場にふさわしかったかどうか」だろう。「突風とは言いながら、風の息づかいを感じていれば、事前に気配があったはず」だそうだが、78年の東西線荒川中川橋梁の事故では、特に事前に強風が吹いていたわけではなかったそうだ(竜巻だったらしい)。さらにいえば、計測値で5mというのはけっこう大きな差だろう。

 尼崎のときもそうだったが、物理的な現象としての事故原因と、それを引き起こした「遠因」としての事故原因(人的ミス)が混同されているケースが多い。それは飛行機事故でもだいたい同じだ。
 今回の事故に関して、尼崎脱線事故の遺族の人たちがコメントを出している。俺はその内容にははっきりいってあまり賛同はできないけれど(現段階では尼崎事故のような明らかな過失がないから)、でもその人たちがコメントを出すことについては理解できる。俺だって遺族だったら同じ行動を取るだろうし。

 でも、報道機関は事故の「当事者」ではない。当事者でもなく関係者でもない、それでも事故について扱おうとする人間に求められるのは、起こった物事を冷静に分析することじゃないのか?今のところ、事故の原因ははっきりしていない。速度と風による脱線の因果関係もはっきりしない。もし風に対する備えが不足しているのが原因なら、それを仕組みとして確立していないことが批判の対象になるべきであって、規則に従っていたにも関わらず「五感を研ぎ澄ませていなかった」のが悪い、などと叩くのはくだらない精神論以外の何者でもない。

 「誰々が悪かったから」ではなく、経過としてどういう原因で事故が起きたのかがわからなければ、再発は防げない。

 追伸(1/3):現場を含む約8キロの直線上で防雪柵が折れて飛ばされたり、砂防林がなぎ倒されたりしていたことが新たに判明。竜巻の可能性が高いようだ。これで毎日の論説委員はますます立場がないな。
# by amai_mikan | 2005-12-28 03:44 | 雑記
羽越本線で特急が脱線転覆
 残念なことにまた大きな鉄道事故が起きてしまった。
JR羽越線で特急が脱線転覆。最新情報では2人が亡くなり、まだ数人が車内に取り残されているようだ。

 脱線した列車は秋田発新潟行き「いなほ14号」(上沼垂運転所所属の485系3000番台6両編成)。現場は砂越―北余目間の第2最上川橋梁付近。事故発生は午後7時15分ごろとのことなので、約1時間10分の遅れということになる(定時だと酒田18:00発―余目18:08着)。

 運転士は「鉄橋上で異音がした」「突風で車体が浮いた」と話しているということで、どうも突風が原因の可能性が強いようだ。過去に強風で列車が脱線した例としては、1978年の営団東西線荒川中川鉄橋での脱線事故(強風で鉄橋の中で転覆)や1986年12月の国鉄山陰線餘部鉄橋での事故(強風で回送列車が転落、鉄橋下の工場を巻き込んで5人死亡。ただしこれは運転を規制すべき風速だったのに規制していなかった)が思い出される。風速での規制は、風速25m/秒以上:抑止(運転をやめる)、20m/秒以上:25km/h以下で徐行、のはず。ちなみにこのへんはもともと風が強いところのようで、風力発電をやっていたりする。

 仮に強風が原因だとして、規制値以下なら問題ないとされているわけだし、ダウンバーストとかだったら対策はなかなかむずかしいんじゃないかとも思える。「軽量化が・・・」という意見が恐らく出てくるだろうが、この列車に使っていた485系は国鉄時代の車両で、一番軽い車両でも40t以上ある。
 ただ、単純に横風だけで列車が転倒するかというとそれはけっこう疑問。鉄橋の構造としては、今回の第2最上川橋梁や荒川中川鉄橋、餘部鉄橋はどれも開床式(線路の下に砂利とか路盤がなく鉄骨だけの構造、要はスカスカ)なので、強風の場合下から持ち上げる力もかなり働いていると思う。戦前、東横線の渋谷近くの高架(開床式だった)で少し強い風が吹くと、床にある点検用のふたが吹き上げられて困った、というのを読んだことがある。もし都市部の路線にあるような閉床式(普通の高架線みたいな形)の鉄橋だったらどうだっただろうか?
# by amai_mikan | 2005-12-26 01:54 | 雑記
christmas express
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Happy Christmas!

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# by amai_mikan | 2005-12-25 03:03 | 雑記
All aboard!
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 しばらく前のことなんですがついに3線式Oゲージを購入してしまいました。3線式Oゲージというのは超簡単にいえば100年近く前に電気式の鉄道模型が誕生したころから変わらずに続く線路幅32mmで集電用にレールが3本あるシステムの鉄道模型のことです。Z、N、HOm、HOとそれぞれ数は少ないながらもすでに3スケール4ゲージを所有する近鉄のような俺ではありますが、はっきりいって3線式Oゲージには以前からやたらと惹かれるものがあり、いつかは手に入れよう、と思っていたのです。だがしかしやっぱり値段が、とか買っても走らせる場所ないべ、などと思いつつ本なんかを見てるとでもやっぱ欲しいかもいや欲しいもうこれは買うしかない、というわけである休日に突如として購入を決意。時すでに陽は傾きつつあったが長野新幹線に飛び乗り東京は神保町にあるOゲージの専門店はぐるまやさんを訪問したのでした。

 やっぱりはじめはベーシックな基本セットですよね、というわけで3線式Oゲージのトップブランド(だと思う)ライオネルのセットを購入。ちなみに購入したのは"Texas&Pacific The Eagle set"というやつで、その名の通りアメリカはテキサス&パシフィック鉄道の看板特急「イーグル」塗装の蒸気機関車と荷物車+コーチ+展望車、それに楕円エンドレスの組めるレールとコントローラーがセットになった豪華版です(というかセットはこれしかなかった)。覚悟はしていたが単純に値段の問題でいうと高いといって差し支えないお値段、というか予想よりも高く実はうちの1月分の家賃より高い。とはいえ欲しいものは今買わなくてもどうせいずれ買うことになるのである。ということで近くのコンビニATMに走った。即断即決する俺クール。持ってくるのは大変でしたが。
 
 そんなわけで俺の部屋にアメリカンな香り漂う3線式Oゲージ鉄道がやってきたわけです。結果的にいうとこれはかなり楽しい。まさにお買い得、バリューフォーマネーです。もう最近は深夜仕事から帰ってくるなり毎日のようにコイツを動かしております。今のところ単純な楕円エンドレスのレールを走らせるだけですがそれでも楽しい。スペースもそんなに必要ないです。というかむしろNゲージより狭くていいくらい。

All aboard!_a0016192_345472.gif アメリカンスタイルの(アメリカの鉄道なんだから当たり前だな)蒸機。T&Pに本当にこのスタイルの蒸機がいたかどうかは知りませんがまあそんなことはどうでもいいでしょう。テンダーまで含めて全長約50cmの堂々たるボディはダイキャスト製ですごい重量感(実際に重い)。サウンド機能がついていて、シュッシュッというブラスト音のほかにコントローラーからの操作で汽笛、アメリカの列車らしくベルも鳴らせます。とまあここまではけっこうよくある機能だと思うのだがコイツはなんと停車中に汽笛を鳴らすと機関士が「ナントカカントカ?」と運行指令に英語で問いかけ、指令のディスパッチャーが"please stand by"とか"you're clear for departure"と返事をする、という機能まであって、これがなかなか面白い。機関士の人形を乗せたいところだ。煙突から煙も出ます。といってもまあタバコの煙くらいの量ですが。というか室内であんまりモクモク煙吐かれても困るわな。


All aboard!_a0016192_3462323.gif 客車は窓に乗客のシルエットがあってクラシカルな模型の雰囲気を漂わせております。車内の照明は(機関車をニュートラルにしておけば)停車中でも点灯。他のゲージでは特に点灯にこだわらない、というかむしろ妙にチラチラしたりするとむかついて取り外してしまったりする俺ですがこのぐらい大きいと楽しい。夜汽車の雰囲気。酒飲みながら走らせているととてもいい気分になれます。連結器はごつくていかにも「連結器!」というメカっぽさがあります。専用の電磁石を使うと自動で切り離し可能で、まあこれは今となっては珍しいもんではないがライオネルがこれを開発したのは1945年だそうだ。そんな時代に模型の連結器なんか開発してる国と戦争したらそりゃ負けるよなあ。


All aboard!_a0016192_347153.gif コントローラーもアメリカンレジェンドな雰囲気を醸し出しております。この昔の黒電話とかでかいラジオとかみたいなデザインが素敵。ちなみに右のオレンジ色のがスロットル・レバー。カーブがかなり急ということもあってどうしてもスピードが落ちやすいので速度を一定に保とうと思うとレバーをけっこう頻繁に動かさなきゃいけないのですが、それがいかにも運転してるという感じでよい。

 思ったんですが、これは「鉄道にはそんなに興味ないけど鉄道模型はやってみたい」というような人にはとても向いてるんじゃないかと。ZもNもHOもそれぞれ良さはあるんですが実物をそんなに知らなくても楽しめる、というか模型それ自体としての面白さ、動く機械としての魅力という点では一番のような気がします(いやまあGゲージとかは持ってないのでわからないけど)。特に団塊世代のおとーさんの定年後の趣味としてはノスタルジアをくすぐる部分もあるのでいいんじゃないだろうか。Nだと老眼には辛いだろうし。

 ちなみに安普請のわがアパートでは階下に走行音が響くだろうということで、前に書いたNのレイアウトと同様に緑の薄いカーペットを買ってきてその上に線路を敷いてありますがけっこういい雰囲気です。建物なんかも欲しいところですが今はNYのイエローキャブのミニカー(以前あった月刊のタクシーコレクションみたいな本の付録、1/43なので違和感ない)と小さいクリスマスツリーを置いてあります。段ボールで簡単に駅でも造ってみるか。とりあえず線路関係ではポイントが欲しいところ。車両はアメリカっぽい派手な貨車があるといいかも。でも前にこれを買いに行ったときに超かっこいいNYの地下鉄車両があったんだよな…

 しかし部屋が線路だらけです。
# by amai_mikan | 2005-12-19 02:42 | 模型
revolution
 大阪市の関市長がマニフェストを発表。市営地下鉄・バスの公設民営化も含まれているとのこと。ごみ事業の独立行政法人化のほうが一般的にニュースになるのはまあわかるんですが、あの大阪市が市営交通の運営を民間委託するというのは実は歴史的転換ではないかと俺は思う。
 よく「市営モンロー主義」とか言われているとおり、大阪市は歴史的に市内交通は市で運営するという考えがあったようです。路面電車も地下鉄も最初に公営でつくったのは大阪だった。なぜか手元にある「大阪市営交通90年のあゆみ」(財団法人大阪都市協会発行)によると、
 大都市のなかで、唯一大阪市だけが市内交通の市営主義を貫いてきました。その理由について、当時の2代目鶴原市長は「市民生活に重要な影響を及ぼす公益事業が、利益追求の一方に傾く民営では、料金高と設備不良を招く危険があるから不適当である」とし、「市営電車事業に収益があれば、人口増に伴う道路、上下水道、学校等の新設・改良など、税収入だけでは追いつかない都市建設費に充当してまちづくりを進めていくことができる」と主張したのです。

 ・・・だそうだ。ちなみに文中の「市営電車事業」は路面電車です。実際、かつては電車の収益で道路整備ができたようだ。とはいえ大阪市交通局は昭和40年代にはすでに赤字で財政再建団体の指定を受けていたりするので、はっきりいってこの考えはずいぶん前に通用しなくなっていたと言える。
 海外では公営交通の運営を民間委託した例はけっこうあるので、俺的には大阪市がどういうシステムを採るのかが注目。もしかしたらフランスのconnex(名鉄岐阜市内線の引継ぎに名乗りをあげた、世界各国で公共交通を運営する企業)とか、外資が参入するかも。これがうまくいけば他都市にも波及するかもしれない。

 ただ、第三セクター鉄道と同じで、公営交通というのは「民間ではできない部分もある」からやる、ってのは忘れないでいただきたいところです。
# by amai_mikan | 2005-12-16 13:59 | 雑記