あれほど積もっていた雪はいつの間にかほとんど溶けて陽も明らかに長くなってきた。雨が降る前の湿った空気に確実に春を感じる。
俺的には今年の春は何となくいい季節になるという気がするのですが(具体的にいいことは予定も含め何もない)、今年の春は鉄関係では明らかに「お別れ」の多い春になる。というわけで片っ端から思いつく限り挙げてみよう。
・伊豆急「リゾート21」1次車引退(10日 *11、12日にイベント)
この車両もついにそんな時を迎えてしまうんだな。まあ他に何編成もあるので乗れなくなるわけじゃないが、ついにこのシリーズにも廃車が出るのかと思うと感慨深い。今でこそ座席を外側に向けた展望列車は珍しくないが、登場時(1985年)は本当にディープインパクトだった。当時俺は小学生だったけど、夏休みにわざわざ乗りに行ったもんです。しかし今や伊豆の観光客は激減し伊豆急は東急8000の中古を導入しているわけで、リゾートもスーパービュー踊り子も後継車は出るのだろうか。後世になって「伊豆急が最も輝いていたのは1980~90年代だった」と言われそうな気がしてならない。
・東海道線東京口から113系が撤退(17日)
一般メディアでもだいぶ取り上げられつつある113系の撤退。こういう「走っていて当たり前」という空気のような存在的列車がなくなるときに時代の変化を感じる。しかしこれがなくなると、大半の乗客は小田原-根府川間の車窓に背を向けて通過することになるのね。
・急行「かすが」(名古屋-奈良)廃止、寝台特急「日本海」(大阪-青森・函館)函館直通廃止(17日)
実はどっちも乗ったことないのだが、そんなに需要ないのかなあ。何気に「日本海1号」は長野から飛行機以外で北海道に行く最速ルートだったりする(直江津23時47分発)。
・箱根登山線小田原-箱根湯本間から登山車両撤退(18日)
全部小田急の乗り入れ車になるそうだ。ちなみに登山電車の小田原乗り入れは1935(昭和10)年から(それ以前は小田原-湯本間は路面電車)。というわけで登山電車とロマンスカーの交換風景なんかも見られなくなる。まあ混むときはけっこう混む区間なのでキャパの小さい登山車より小田急車のほうがいいんだろう。しかしこれじゃ完全に湯本までが小田急線だな。3線区間はどうなるんだろうか?そして今後も風祭では1両目のドアだけを非常コックで開け続けるのか?
・小田急9000形ほぼ引退
これが俺にとっては一番でかい。9000は歴代ロマンスカーと並んで明らかに小田急の代表車種だったし、その証拠に新宿のホームの「急行」「準急」「各停」の看板も9000をかたどっていた(今は1000形)。うちにある20年以上前の本(たぶん俺が初めて買ってもらった電車の本)「ヤマケイハンドブック 小田急」を見ると、通勤車両解説の最後にほかの車両より明らかに一段上の扱いを受けて登場している。俺の中でも9000はずっと「新型車」で「代表車種」だと思っていた。
が、沿線を離れてたまに東京に帰るたびに乗りあわせる回数は確実に減っていき(いつもカメラを持っていくんだけどほとんど撮れなかった)、ついに完全淘汰が目前に迫った。ネット上の情報だと、来週末あたりが最後というのが有力っぽい。日本の鉄道車両史…は大げさかもしれないが、少なくとも小田急車両の歴史においては2、3を争う存在なのは間違いない(1位は絶対に3000形SE車)。近頃の小田急のことだからファイナルイベントはやってくれるだろうけど、最終運用はぜひ通勤車として一番の花形運用、箱根湯本行き急行に入れてやってほしい。
…というわけで来週の休みはなんとかして小田原界隈に行かないといけないな。さて行けるだろうか?
*追記:
・寝台特急「出雲」(東京-出雲市)廃止、夜行特急「利尻」(札幌-稚内)「オホーツク9、10号」(札幌-網走)季節列車化(17日)
こんなでかいものがあったのに忘れていた。「出雲」は乗ったことないのだが、米子、松江、出雲市あたりは「サンライズ出雲」があるからいいとして、せめて鳥取までは残せなかったのか(まあ無理だから廃止するんだろうが)。東京21:10発、鳥取7:58着ってかなり有効時間帯だと思う(ちなみに同区間の夜行バスは品川20:30発、鳥取7:00着)。
「利尻」は夏、「オホーツク」は冬の流氷シーズンのみ運転になるそうです。どっちも乗ったことがあるので残念。そして北海道で夜行が季節列車化と聞くと「ミッドナイト」(函館-札幌、夏は常に超満員だった)廃止の悪夢がよみがえる。まあ「オホーツク」は真夏でも空いてたから仕方ないか…。列車で稚内に行ったときは駅前の旅館に泊まったのだが、夏の稚内駅周辺は「利尻」の到着とともに目覚め、夜は「利尻」の発車とともに静かになって、旅人の街、という感じだった。
北海道は車で行くところというのが一般的なイメージだろうが、俺は1度は列車で周ることを幅広く世間の皆様にお勧めしたい。車じゃないと行けないところは確かに多いんだが、乗り換えの都合なんかで
列車じゃないとまず行く可能性のない所ってのも実は多くて、そういうのはとても楽しかったりする。